エグゼクティブインタビューVol. 8-後編:株式会社システムソフト吉尾春樹社長 「今日よりも明日、1mmでも前へ進んでいたい」

リーダーはいかにしてリーダーになったのか。
リーダー自身の言葉からその理由を紐解くインタビューシリーズのVol.8では、吉尾春樹氏に話を聞いた。最近では不動産業界にDXの新潮流をもたらし話題を集めている「システムソフト」の代表取締役として指揮を執る吉尾氏は、意外にも法学部の出身。IT業界へと足を踏み入れたきっかけを初め、若いビジネスパーソンには特に参考になる仕事の醍醐味や核となるスキルまで、自身の失敗談も交えながら語っていただいた。後編では、自身が個人としても社長としても大切にしている日頃の行動指針から、仕事をする上で必要なスキルについて尋ねた。

経営側として、大切に想っていること

IFLATs(以下、I):座右の銘や好きな言葉、格言などはありますか?

吉尾社長(以下、Y):行動指針のひとつは「今日と明日では明日の方が1mmでも前へ進んでいたい」です。そのバリエーションで「今日と明日では1歩新しいことをやりたい」ということも常に思っています。変化やチャレンジについては、社長になった時から社員にもしつこいぐらい言っています。特にこの業界は昨日と今日が同じということがないので、必ず変わっていかないとなりません。

I:世の中の変化に対して、どのようなスキルが必要になるとお考えですか?

Y:変化のスピードが速くなり、選択肢も増えています。いろんなやり方があり、どれが正解かは分かりません。昔だったら、少し後に振り返れば正解も失敗も分かりましたが、今は正解か不正解か分からないまま、一定期間突っ走らないといけない場合があります。我々経営側が決めなくてはならないのは、現場が一生懸命考えて上げてきたことを納得したら、全力で支援することだと思います。現場は色々な選択肢があるから迷います。10の選択肢を社員が彼らなりに考えて3つぐらいに絞ってくる。その後3つから1つを選ぶのは現場では難しい部分もあって、それを経営側で決めることになりますが、いい面も悪い面もあるし、ハイリスクハイリターンなど色々ありますよね。それを調整することを重視しています。

I:経営側として、社員の取り組みを可能な限り色々やらせてあげるというスタンスですね。

Y:昔は上の人には過去の経験があるから下の人よりも判断ができたのだと思いますが、今は過去の経験があまり活きないので、経営層だけで考えていると間違える可能性があります。だから、現場と一緒に考える。経営層は責任を取れるので、覚悟だけが違いだと考えています。

若手に勧める、社外との交流

I:若手の方に、推薦する本などはありますか?

Y:本を読むのは好きですが、人によって捉え方は違うので、押し付けるのはどうかと思っています。本を書いている人は、基本的に成功した人ですし、内容は一部美化しているところもあったりします。本に学ぶこともよいですが、むしろ、いろんな人と意見交換をした方がいいよと言っています。その相手は有名な人である必要はありません。私の場合、年齢的にも、友人がリタイヤし始めていまして、リタイヤした人は時間もありますし電話も嫌がらないですから、最近はよく友人と電話やzoomで話します。仕事の付き合いとは異なる視点で様々な話ができて、普段とは違う発想や考え方が生まれて、頭の体操になっています。昨年のコロナ第一波で動けない時には「この暇な機会に、できるだけ友達とか知り合いとか親戚とやりとりしたほうがいいよ」と社員に提案していました。

I:学生時代のサークル仲間や先輩と今も交流はありますか?

Y:大学の時の先輩は永遠に先輩なので、そういう立場でやりとりしています。同級生も含め、仕事とは全然違う人間関係が面白いし、自分の中の新たな引き出しになっています。人間は一人じゃないから、人と繋がってこそ。私が大事に思っていることのひとつです。

I:尊敬されている人物や目標とされている方はいらっしゃいますか?

Y:身近なところでは、APAMAN株式会社の大村浩次社長です。あれだけ色々と細かいこともやりながら、大学院を卒業されて、よく時間があるなと。あのバイタリティは本当にすごいと思います。ただ私がそれを同じようにやるかと言われるとまたちょっと違って。資本を持っていただいていることもあり、大村社長のお考えをできるだけ実現できるようにお手伝いをしていくことだと考えています。大村社長や株式会社ジャパネットたかたの髙田明元社長など創業者の方々は一人一人バックボーンが違うわけですけども、自分の信念を持って貫いている方が多く、その点を非常に尊敬しています。

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